都ホテル東京メディカルクリニック

東京都港区白金台1-1-50 シェラトン都ホテル東京地下1階

院長 河野 研一

電話:03(3473)1651

肝臓機能検査

検診や人間ドックの肝疾患のスクリーニング、外来や入院時の一般肝機能検査としてGOT、GPT、ZTT、TTT、 ALP、γ–GTP、血清ビリルビンを組み合わせて診断することは肝疾患の発見には有用であると云われており、 その他の肝機能検査は診断の精度を増すためにも重要な検査と思われます。

  • GOT(AST)

  • 心筋、肝臓、脳に高濃度に存在し、ついで骨格筋、腎臓に含まれる酵素で、これらの臓器・組織が障害を受けると血液中に増加します。 GOTが低値なのは特に問題はない。肝・胆道系疾患でGOTは増加しますが、 後述するGPTと組み合わせることで更に正確な診断がなされます。 一般に急性肝炎では高度な上昇を示し、最初はGOT > GPT、ついでGOT < GPTの型をとるといわれています。 慢性肝炎や脂肪肝では急性に比べると軽度~中等度の上昇にとどまると共に、GOT < GPTの型をとることが多く、 肝硬変や肝癌でも軽度~中等度の上昇で、GOT > GPTの型をとることが多いと云われています。 アルコール性の肝疾患の場合はGOTの上昇とともにγ–GTPの上昇が認められ、胆道系の疾患では血清ビリルビンの上昇を伴うことがあります。 心筋梗塞では比較的早期に上昇し、診断に役立ちます。また原発性筋疾患でもGOTの上昇は認められます。

  • GPT(ALT)

  • GPTは肝臓に一番多く存在している酵素で肝臓疾患の診断には欠かせない検査の一つです。 腎臓にも肝臓の約1⁄3程度存在していますが、その他の臓器にはあまり存在しません。 GPTは心筋、骨格筋にはあまり存在していないため、心筋梗塞や筋肉疾患では正常~軽度上昇にとどまることが多く、 これが肝疾患時のGOT、GPT異常との鑑別診断の一つとなります。 慢性肝臓疾患の場合GOT < GPTの型をとることが多く、GPTを慢性肝炎の悪化、改善の目安としています。

  • TTT

    血清にチモール液を加えることにより、血清の混濁を測定する検査です。上昇する代表的な疾患は肝実質障害 特に急性・慢性肝疾患・肝硬変で、障害度の判定にも役立ちます。非肝疾患では高脂血症、慢性関節リューマチなどの 膠原病、慢性感染症で増加します。後述するZTTと併用し、鑑別診断に利用します。

  • ZTT

    TTTと同様に硫酸亜鉛を加えて血清の混濁を測定する検査です。急性肝炎ではあまり高くなりませんが慢性肝炎で 中等度、肝硬変で著明な増加が認められます。非肝疾患では感染症、悪性腫瘍などで増加が認められますが、 これらは高γグロブリン血症を呈することが多く、γグロブリンと相関関係があると云われています。 TTTと組み合わせてより正確な診断がなされます。

  • ALP

    ALPには肝由来・骨由来・胎盤由来・小腸由来などがあり、肝疾患のみの指標ではありません。 ALPは健常人でも、成長期にある小児では骨由来、妊婦では胎盤由来の上昇を認める事もあります。 また女性の場合、閉経後に骨粗鬆症のために軽度ながら上昇することもあります。 肝由来の上昇は胆道系の完全・不完全閉塞を伴う疾患(黄疸を伴うことがある)の場合に多く、 他の検査γ–GTP、血清ビリルビンの上昇を伴う事があります。肝硬変では小腸由来の上昇が認められると云われています。 ALPの低下を示す遺伝性疾患はありますが、成人の低ALPは何ら問題はないと云われています。

  • γ–GTP

    γ–GTPは胆道系の細胞に広く分布する酵素です。胆道系の閉塞・う滞を伴う疾患、慢性肝炎、 肝癌などで増加することが知られています。また、アルコール性肝疾患の場合に比較的鋭敏に反応し、指標としてまた治癒判定として役立ちます。

  • 血清ビリルビン

  • 直接型ビリルビンと間接型ビリルビンとに分類されます。両者を総合したものを総ビリルビンと呼びます。 総ビリルビンは胆汁として、肝臓内の肝内胆管から肝外胆管をへて、胆嚢、総胆管に達します。 経口摂取された脂肪が十二指腸に達すると胆嚢は収縮し、脂肪吸収を行います。この通路を胆道系といいます。

    直接型ビリルビンは肝細胞内で間接ビリルビンから変換されます。変換された直接型は胆道系を通過するため、 ここに通過障害がある場合はうっ滞が起こり、血中に逆流し上昇します。

    間接ビリルビンは胆道系の疾患でも軽度上昇する事はありますが、主に肝細胞障害のとき上昇します。 直接型か間接型のどちらが上昇しているかによって、肝障害の鑑別診断がなされます。

肝炎ウイルス検査

現在肝炎ウイルスとしてA型~G型までが報告されていますが、一般的にはA型・B型・C型が主体で、 他の型はこれらの亜型あるいは日本国内にはほとんど存在しないものとされています。 現在、我が国にはB型あるいはC型のキャリアー(保菌者)は200万人とも300万人とも云われています。

  • A型肝炎ウイルス(HA Virus)

    このウイルスは食物を介した経口感染が通常の感染と云われています。 感染するとA型肝炎ウイルス抗体(HAV抗体)が陽性となります。更に、IgG型HA抗体とIgM型HA抗体の測定を行い、 前者だけが陽性であれば、「過去の感染」を疑い、後者が陽性であれば「今まさに感染している」ことを示します。 一度このA型肝炎ウイルスに感染して、IgG型HA抗体が陽性(保有菌者)になると今後二度とA型肝炎は発症しません。 急性A型肝炎は20才以下の人に発症が多いといわれています。 20才以下の人にはA型肝炎ウイルスの保有菌者が少なく、40才以上の人には比較的この保有菌者が多いためです。

    初めは、発熱、全身倦怠感など「かぜ症状」と紛らわしい症状を呈し、その後、黄疸(眼球結膜・皮膚の黄染)が 現れることがあります。適切な治療が行われ肝機能が正常に戻ると、慢性化することなく治癒します。慢性肝炎に移行することはありません。

  • B型肝炎ウイルス(HB Virus)

  • B型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。感染経路として垂直感染と水平感染とが考えられています。 垂直感染とはB型肝炎のe抗原(HBe抗原)陽性の母親から出産時に感染するものです。 水平感染とはB型肝炎ウイルスに汚染された注射器、いれずみ、薬物常習者の汚染した注射器などが原因として感染するもので、 以前は輸血や血液製剤による感染が水平感染としてもっとも多い原因でした。

    B型肝炎は一過性感染(急性肝炎)と持続性感染(キャリア)とに分類されます。 成人の感染は免疫力があるため一般的には、一過性の感染(急性肝炎)で終わってしまうことが多く、 免疫力の未熟な3歳以下の時期に感染すると、高率にキャリア化するといわれています。

    一過性感染(急性肝炎)は感染後2~3ヶ月でHBs抗原が陽性となり、肝機能障害が現れます。 しかし、発症後3ヶ月程度でHBs抗原が消失、HBs抗体が出現し、肝機能障害は治癒します。

    持続性感染(キャリア)とは持続的に血中にB型肝炎ウイルスを保有するもので、症状・肝機能障害を伴わないものを 無症候性持続性感染(無症候性キャリア)と呼びます。キャリアのほとんどは 肝機能障害の出現・軽快を繰り返し、数年後にはHBs抗原が消失、HBs抗体が作られ肝臓の機能障害は沈静化してきます。 HBs抗体が陽性の場合、原則としてB型肝炎ウイルスの再感染はおこりません。 しかし、キャリアのなかには持続的に血中に肝炎ウイルスを保有するため、加齢と共に肝機能障害が現れ、 慢性肝炎へと移行する場合もあります。これら慢性肝炎の一部には肝硬変、肝癌へと進展するものもあります。 持続性感染があるか否かはHBs抗原・抗体、HBc抗原・抗体、HBe抗原・抗体、HBV-DNA等の 血液検査で判断されます。慢性肝炎の程度の判定あるいは鑑別診断のために、肝臓の組織を採取する肝生検も行われます。

  • C型肝炎ウイルス(HC Virus)

    C型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。B型肝炎と違いC型肝炎ウイルスの感染経路には垂直感染は(母子間、夫婦間)ほとんどないが、 一旦感染すると慢性肝炎に移行しやすいと言われています。以前は輸血による感染がほとんどでしたが、 献血時にB型、C型のチェックを行うようになった1989年頃からはほとんどなくなっています。 輸血以外の感染源は汚染された注射器、いれずみ、薬物常習者の注射器の回し打ちなどが考えられます。 C型肝炎ウイルスはB型肝炎ウイルスとは異なり、免疫力の発達した成人でも高率に持続感染に移行します。

    C型肝炎にはウイルスの感染後、数年~十数年かけて発症し、慢性肝炎の経過をたどる活動性慢性肝炎 と感染後、ウイルスの勢いがなくなり消滅してしまう非活動性慢性肝炎とに分類されます。 両者とも検査でHCV抗体は陽性となりますが、非活動性の場合は他の肝機能検査でも異常は認めず、 臨床的に問題はなく、治療の必要もありません。 (HCV-RNAが陰性)活動性の場合はGOT(AST)・GPT(ALT)が基準値より高く、 GOT < GPTの型を示します。活動性か非活動性かを判定するためにはHCV-RNAを検査する必要があります。 これが陽性を示すと血中にC型肝炎ウイルスが存在していることになり、活動性慢性肝炎と診断されます。 さらにウイルスの量、ウイルスの遺伝子タイプを調べることで、今後の治療に役立てます。 慢性肝炎の程度あるいは鑑別診断のため、肝臓の組織を採取する肝生検を行うこともあります。

    HCV-RNAが陽性でも無症状で、肝臓機能も正常な場合があります。 これはキャリアと呼ばれ、現在は無症状であるが、C型肝炎ウイルスを持続的に血中に保有している人です。 キャリアであれば、将来的に発症する可能性は否定できません。また活動性の一部には、 肝硬変、肝癌へと進展するものもあります。


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